ヨーロッパ旅行にあたって(後編)
こんにちは。
今回は中編(http://eiger.hatenablog.com/entry/2018/04/27/194719)の続きとなります。
この後編では、ヨーロッパの現地での楽しみ方や気をつけるべきことを解説させて頂きます。
○最初に
まず念頭に置いておかなければならないのは
です。
日本は何かと過保護な国ですが、そこは異国。自分の身は自分で守るつもりでないといけません。とはいえヨーロッパは世界の中では比較的治安が良い地域ですから、警戒しすぎて旅を楽しめないのも損です。では具体的に何をどうすれば良いのか?ということを述べていきます。
まずは言葉です。
私自身が編み出した作戦なのですが、「こんにちは」「ありがとう」「お会計お願いします(これはいくらですか?)」の3フレーズだけは、その国の公用語を覚えておくと便利です。
それ以外は中学レベルの英語、Google翻訳、筆談、絵図を指差し、金額を電卓に打ってもらうなどでどうとでもなります。
まあ、その国の言葉が分かるに越したことはないのですが…。
英語にコンプレックスを持つ日本人は多いですが(私も全然出来ません)、向こうも大抵は非ネイティヴなので安心してください。むしろ互いにたどたどしいので逆に聞き取りやすかったりします。
一点注意するとしたら、注意喚起の「すみません」のつもりでSorryと言わないでください。
「すみません」をスナック感覚で使うのは日本の風習です。ヨーロッパだと「申し訳ありません。謝罪します。責任は私にあります。」という意味になってしまいます。そんなに軽い感覚で言う言葉ではないのです。
余力があれば、各国語でExcuse meにあたる言葉を覚えておきましょう。
もし外国語に詰まって何も出てこなくなっても、黙るのが一番良くありません。最悪日本語でも良いので、とにかく音声を発しましょう。
余談ですが、トイレの性別も要注意です。私は以前オーストリアで「D」(女性)と「H」(男性)とだけ黒字で書かれた2枚の扉の前で、どちらが正解か分からず立ちすくんだ経験があります。その時はたまたま50:50に勝ちましたが…。
ドイツ語を学んだ今となっては分かります。
「D」はDamen ダーメン (女性)で、「H」はHerren ヘーレン(男性)です。
「男は入っちゃダーメ」、と覚えましょう(雑学)
次に睡眠について。基本的に、ホテルや夜行列車の客室内など安全な場所以外では眠らない方が吉です。
体力を使い果たして電車の中で眠りこけてしまったりすれば、高い高い授業料を払わされると思った方が良いでしょう。
体力についてはくれぐれも万全を期しましょう。三食しっかり食べ、夜6〜8時間はぐっすり眠る、携行する荷物は出来るだけ軽量にする、などは大前提です。
観光の最中でも、体力の限界を感じれば躊躇なく休憩を挟んだり、ホテルに引き返すなどして下さい。
あとは本来なら日本でもですが…携帯見ながら歩かない。これは絶対です。
◯移動する(市内)
ヨーロッパの都市では路面電車(トラム)、地下鉄、バスが市営で統一されているのが一般的です。(タクシーは例外)
そのため料金体系が「90分でいくら」「片道いくら」など非常に分かりやすくなっています。東京のようにJR、地下鉄、私鉄を乗り継ぐから料金がかさむということはありません。
トラムの路線図がホテルや観光案内所には無料で置いてありますので、貰っておくと吉です。
タクシーはヨーロッパには悪徳業者が多いので、価格の明示が無いとか決められた色をしてないとなれば、極力避けた方が無難かと思います。
観光なら24時間券が非常にオススメです。(有効期間が長い券ほどコスパが良いので、滞在日数に応じたものを買いましょう)
↓ハンガリーの首都ブダペストの市内交通機関24時間券(800円くらい)
切符の購入は地下鉄の駅、ホテルの窓口、またはタバコ屋さんにて行ってください。
路面電車やバスの停留所では買えないことに注意してください。
「(都市名)Card」というのもあります。期間内交通機関乗り放題、主要観光施設の入場が無料または大きな割引、大きなレストラン等のクーポンがついていたりと恩恵は大きいのですが…とにかく高いです。よほど精力的にその都市を満遍なく見て回らないと元が取れないので、あまりオススメしません。
実際に現地に行くと、タダ乗り(キセル)がバレにくいように見えて、ついついやってみたくなりますが…絶対にやめてください。
現地人などはどう見てもタダ乗りしてそうですが、ちゃんと年単位の定期券を持ってます。
切符は買うだけではダメで、打刻をしなくてはなりません。
地下鉄の駅や、バスやトラムの車内にはこういう打刻機
がありますので、きちんと切符を挿し込んで打刻してください。
買った時から有効期間スタートなのではなく、打刻した時からスタートなのだということに留意してください。
タダ乗りや、切符を買っていても無打刻または期限超過での乗車が検札でバレると重い罰金が課せられますので、くれぐれも注意してください。
また、ヨーロッパでは右側通行が基本です。
ヨーロッパに来てすぐ、日本に帰ってすぐは、行きたい方向とは反対側に行ってしまいがちなので、くれぐれも注意しましょう。
前編でも触れましたが、観光していると思いの外とんでもない歩数を歩きます(1日2万歩とかザラです)。旅行前から歩く習慣をつけておくことを推奨します。
まだ私が試したことは無く、次の旅行で初めて使う予定なのですが、「Hop on- Hop off Bus」という物に今は注目しています。
決まったコースを20〜30分ごとにぐるぐる走っている観光バスに、その日の間は乗り降りし放題というものです。
(日本語があるとは限りませんが)音声ガイド付きで、無料Wi-Fiも飛んでます。
もちろん市営ではなくお金は別に発生しますが、歩数と疲労を減らすのにはとても有効だと思います。
◯移動する(遠距離)
都市間を鉄道またはバスで移動する場合を想定しています。
まず、鉄道駅には改札がありません。誰でも入れます。
切符は事前に窓口やオンラインで買うか、車内で検札の時に買うかです。大抵オンラインで買うとちょっと安いです。バスでは運転手か、発車前にバスの脇にいる係員から直接切符が買えます。
特急列車には原則として1等車(さらにビジネスとファーストに細分化している場合もあり)と、2等車の区別があります。
1等車(強いて日本で言えばグリーン車)の恩恵としては、
・座席が2×1列配置なので、1人あたりのスペースが広くてくつろげる(2等車は2×2なので狭い)
・治安が良く、清潔
・無料で水やコーヒー、またはお菓子のサービスがある
・食堂車から座席まで食事を出前できる
・主要駅にあるラウンジを無料で利用でき、飲み物や軽食を楽しみながら快適に出発までの時間を潰せる(重要)
などが挙げられます。至れり尽くせりですね。
↓ブダペスト東駅のラウンジ
↓1等車の座席配置が分かる画像
ただしお値段も2等車の1.5〜2倍くらいしますし、本来なら2等車で十分なのです。
しかし私は前回の旅行で友人の勧めで1等車に乗って、その快適さの虜になってしまいました…いけないいけない。
そもそもの話なのですが、ヨーロッパではターミナル駅がある都市とない都市があります。
例えば中欧ですとウィーン🇦🇹やプラハ🇨🇿には「中央駅」がありますが、ブダペスト🇭🇺にはありません(東・西・南駅に分散)。
↓ウィーン中央駅
中央駅があるなら大概の列車はそこに発着するので楽なのですが、無い場合は乗り換えなどでちょっと面倒になる可能性があります。注意してください。
なお「中央駅」というのは都市の真ん中にあるのではなく、普通の駅より上位存在のターミナル駅という意味であり、普通は開発の都合からむしろ真ん中から外れた場所にあります。
日本ではまだまだですが、ヨーロッパでは特急列車や長距離バスには無料Wi-Fiとコンセントが標準装備です。これは2等車にもあります。
もちろんクソザコ回線が混み合って繋がりにくいという問題や、何故か寝台列車には付いていないという欠点はありますが…。
↓コンセントの座席
また、私鉄も無視出来ません。
線路の保守管理を国鉄に丸投げして列車だけ走らすことで、価格やサービスに力を入れた私鉄もあります。(オーストリアのウィーンとザルツブルクを結ぶWestbahnなど)
なお、日本だと予め入線するホームが決まっていて定時運行が当たり前ですが、ヨーロッパではギリギリまでホームが決まらず、遅延は当たり前です。ゆる〜くかつ臨機応変にいきましょう。
他にも、1号車2号車という様な編成も決まっていません。263号車の隣は141号車みたいな感じで、客車番号で列車が編成されています。座席予約したら切符に必ず書いてあるので見てみましょう。どこまでも地続きのヨーロッパでは、始発や終点が異なる列車をスナック感覚で連結したり切り離したりするので、いちいち何号車とか決めていられないのです。
主要駅では長い編成が全て収まるようホームが作られているので、通常では一部しか使いません。そのため、駅の電光表示板では「5番ホームのAゾーンに止まる」という風に指定されます。
◯買う
配るお土産はスーパーでお菓子でも、自分や親しい人用にはお土産屋や酒屋で良いものを買ってみましょう。
治安は悪くありませんが、クレジットカード、デビットカードを使うためにパスワードを入力する時には、一度周囲をチェックするくらいの用心は必要です。
また、免税について。
しばしば誤解されますが、免税とは「消費税なしで買い物が出来る」のではなく、「一定額(1万円くらい)以上一度に買い物し、免税店で申請して書類を用意し、それを空港の窓口で提出し手続きを受ければ、手数料を差し引かれてすぐに税金分のキャッシュバック、もしくは手数料引かれない代わりにしばらく後に銀行口座に入金される」という超面倒臭いものです。
もちろん高額な物を買うなら恩恵はあるのですが…そう単純なものではない、とだけ。
↓免税についてのパンフレット
◯見学する
撮影については要確認です。
好きに撮ってよい、有料のオプションで可能、完全にダメ、一部撮影禁止な展示があるなど場所によって様々です。
あ、フラッシュは絶対ダメだと思ってください。撮る際はカメラの設定を要確認です。
その建物の撮影事情については
Can I take photography?
など、チケット売場のスタッフの方に尋ねてみるのが確実でしょう。
また、昨今欧州はテロに神経を尖らせていますので手荷物検査などをされたり、パスポートの提示を求められることがあります。意識しておいてください。
都市には必ずと言っていいほど大聖堂があり、ほとんどの場合上がって見学することが出来ます。ですがごく僅かな例外を除いてウン100段の階段ですので、脚に自信が無い方は諦めてください…。
ウィーンのシュテファン大聖堂はその例外で、エレベーターがあります。神か。神だな。
◯食べる・飲む
旅と言えばご当地グルメでしょう。(※個人の感想です)
注意しなければならないのは
・日本人経営でない日本語対応のレストランは割高
・現地語メニューと外国語メニューで値段が異なる場合がある
・欧州は基本的に盛りがデカいので、キツいと思ったら無理せず残すか、持ち帰れないか聞いてみる
・外食が続くので野菜不足に注意する
・水は基本的に有料(炭酸の有無も聞かれる)(カフェでは無料の場合もあり)
・酒の飲み過ぎはダメゼッタイ
・10%前後のチップの文化がある(強制ではないので、懐に余裕が無いかサービスに不満があったら支払わなくて良い。あくまでお気持ち)
ということです。
例えば28ユーロのお会計としますと、30ユーロ出して「釣りは要らない」と言うか、50ユーロ札を出して「30ユーロで」と言いましょう(20ユーロ返ってきます)。後者はクレジットカード払いで特に必要なテクです。入力の際はくれぐれも周囲のチェックを怠りませんよう。
それと、そもそもEU加盟国でもユーロを導入している国は実はそれほど多くありません。行く予定の国の通貨については確認しておきましょう。
↓色がついた国がユーロ導入国
また、飲食店で非常にありがたいのは、無料(ごく稀に例外あり)でトイレとWi-Fiが利用出来るということです。食事を楽しみ、休憩と調べ物とトイレの場としてお店を有効活用してください。Wi-Fiのパスワードは、ファストフード店などではレシートに書いてあったり、メニューの端に書いてあったり柱に書いてあったり、店員さんに問い合わせたら分かるなど様々です。
◯夜は
人によってはカジノや風俗で一戦交えたり、飲み屋をハシゴしたり、夜景を見に行きたいかも知れませんが、くれぐれもほどほどに…。
大抵の欧州は夜間の治安は日本より良くありませんし、酔い潰れて転がっている人に優しくありません。
深夜まで行動する時は、然るべき旅行会社に手配された車などでホテルまで送迎して貰った方が良いでしょう。
ウィーン、ブダペスト、プラハの中心部での地下鉄の終電は23:30頃でした。ご参考までに。
◯泊まる
個人的には安全性からドミトリー、ホステルの類は避けた方が良いと思います(優良業者の方には申し訳ありませんが)。
何分、熟睡している部屋に他人がいるのはちょっと。寝込みを襲われればどうしようもありませんし。私などは睡眠薬を使って深く眠っているので尚更で、必要経費と割り切っています。その国の物価にもよりますが、1泊あたり日本円で5000〜10000円は出した方が身のためでしょう。安全は金で買うものなのです。
ホテルのチェックインの際はバウチャー(予約票)を準備しておきましょう(個人旅行の場合)。ネットで予約して送られてきたメールそのものか、添付されているファイルを開いて印刷し、自宅から持っていきましょう。なお、こういうシステムはホテルに留まらず、バスや列車、観光施設の予約にも利用されています。個人旅行なら、日本からバウチャーをファイルか何かにまとめて持って行った方が良いくらいでしょうね。(添乗員さんがいれば全て任せて良いです。神。快適さを金で買うというのはそういうことです。)
宿ではWi-Fi装備が常識ですが、一度繋げばずっとパスワードが有効な場合と、24時間おきに更新しなければならない場合があります。後者の場合はレセプション(フロント)に紙が置いてあるので、チェックインの際に確認しておきましょう。
ヨーロッパの宿にはバスタブは無くてシャワーだけというのが往々にしてあります。日本人には辛いですが…。
アメニティは、タオル以外大抵のものは無いと思った方が良いでしょう。日本の旅館はサービス過剰なので、その感覚で行くと厳しいでしょう。
一つ注意として、私の体験談ではないので恐縮ですが、知人(女性)から気になる話があったので書いておきます。
その人曰く「ドイツに3週間ほど短期留学でホームステイしていて、普段から愛用のシャンプーを日本から持っていったのだが、水が合わなかったのか髪が傷んでしまった」と。
考えてみれば日本の水道水は軟水ですが、ヨーロッパの大半は硬水です。シャンプーなどは現地調達した方が良いのかも知れません。
(私は1週間×2回程度しか行ってませんし、そもそも坊主頭かつガサツ者なので全く気にしていなかったんですよね…。)
生水を飲んでいけないのはもちろんとして、洗髪にも気を付けた方が良さそうです。
◯終わりに
さて、つらつらくどくどと諸注意を申し上げて来ましたが、これだけ心得ておけば安全快適で素敵な旅が出来るでしょうし、仮にトラブルが発生しても何とかなるはずです。
帰りも行きと同じように時間の余裕を大きめに取り、飲み水を確保したりしてください。
海外旅行は本当に楽しいことですが、それを堪能するも台無しにするのも、旅人である貴方の意識次第です。
ヨーロッパ旅行で生きる原動力を得た私は、貴方がご旅行を満喫され、大切な思い出を作られることを願ってやみません。
私が未熟者かつ鳥頭ゆえに、スナック感覚で追記・改訂をしまくることでしょうが、どうか大目に見てやってください。
以上です。ここまでお読み頂き、誠にありがとうございました。
前編 http://eiger.hatenablog.com/entry/2018/04/04/021833
中編 http://eiger.hatenablog.com/entry/2018/04/27/194719