HoI4二重帝国AAR⑨1942年
「あけましておめでとうございます」
「前回我が帝国は連合入りして鮮やかにドイツとイタリアを倒したが、ソ連が地中海に進出したんだったな」
「日本との戦争はまだ続いております。画像は撮り忘れましたが、1月1日に経済法を戦争経済(消費財=民需工場の15%)に変更しておきました」
「徐々に我が国も総力戦の態勢が整ってきたな」
「1月18日、ソ連がフィンランドにカレリア地方を要求。フィンランドはこれを拒否し、戦争は不可避と見えます」
「いまさら冬戦争か。…ん?」
「ドイツもいなくなったのでソ連は地盤固めに入ったのでしょう…何か?」
「おい、緊急で全軍に対ソ戦の配置を取らせろ!急げ!」
「へ?対ソ戦はいずれはやりますが、当面は日本への遠征を準備するはずでは」
「もうすぐに変更だ。HoIプレイヤーとしての直感だ。考えてもみろ、ドイツがいない状況で、ソ連と戦争になったフィンランドが連合に泣きつかず、連合がそれを受け入れないと思うか?」
「まさか…いやしかし、仮にフィンランドが連合入りしたとして、HoI4ではHoI2と違い、同盟を組んでいるだけで即戦争とはなりません。同盟国からの参戦要請を受諾されるか、敵国に自分も宣戦されない限りは戦争になりません」
「それは承知の上だ!いいかよく考えろ。我が国とソ連では地力が違いすぎて軍拡競争では勝ち目が無い。それにソ連は弱体とはいえドイツとイタリアとアルバニアを傀儡国に抱え込んでいる。我が国はただでさえ劣勢なのに三正面作戦をしなければならないんだ。今対ソ戦の準備が整っていないからと言って共産陣営を放置すれば必ず禍根になる!」
「確かに、フィンランドを見殺しにしてはソ連がまた一つ完全体に近付きますし、我らに向く軍も増えますね。そもそも完全体を目指し始めたソ連が我が国のベッサラビア等に目をつけないとは思えません…それに、質も量も年々増していく赤軍の津波を我が軍が受け止められるかと言えば…」
「そうだ。この負け確な状況をひっくり返せるのは、今ここしかないんだ!分かったら急げ!」
「は、はい!」
「対ソ戦の準備を急ピッチで進める中、2月10日にシャム帝国が中華民国に降伏しました」
「極東では日本が劣勢なのか?まぁ我が国は連合だから喜ばしいことだ」
「2月12日、対独伊戦勝記念ということでプーラ(イストリア)の海軍基地をレベル10まで拡張させ、造船所をMAXまで建設するよう発注しておきました」
「よおし、こうなったら戦艦も建造するぞ。k.u.k.Kriegsmarineの未来は明るいな!」
「まぁ、これくらいは遊ばなきゃやってられませんね」
「4月2日、ついにソ連がフィンランドに宣戦布告。冬(?)戦争が開始されました」
「ソ連は自ら以上に冬季戦の得意なフィンランドとの戦いを雪溶け後にもってきたのだろう…スターリンもなかなか頭が冷えているじゃないか」
「スターリンというよりも、本当に大粛清があったか疑わしい赤軍指導部が有能な印象を受けますが…」
「ま、どっちでも良い。とにかくこのソ連は恐るべき敵手だ」
「たとえフィンランドが連合入りせずとも、我が国は同じくソ連の脅威と直接国境を接する友邦として、最大限の支援を行うものであります。旧式の歩兵装備、戦車・航空機などを大量にレンドリースとして送ります」
「在庫処分がメインだろうに…」
「物は言い様ですので」
「4月6日、フィンランドが連合入りしました!予想的中でしたな…」
「これで我が連合と共産が戦争状態に入ったわけだな…我が国はまだ参戦していないが、すぐに参戦要請が来るだろう」
「すぐに受諾しますか?」
「いや、要請は1ヶ月間回答を留保できる。泥濘期が終わり攻めやすくなる5月1日まで待とう。それが…Xデーだ」
「了解しました。ギリギリまで軍も準備を進めます」
「ソ連を警戒してか、デンマーク軍から6個師団の遠征軍の申し出を貰った。ありがたく受け取り、彼らには近所のシュレスヴィヒ=ホルシュタインの防衛に当たって貰おう。ちょうど防衛兵力がいないから放棄しようと思っていたところだ」
「5月1日になりました。フィンランドの連合入り以降、独ソ戦が始まってからスカスカだったソ連国境にはどんどん赤軍が集まってきています」
「やはり今先手を打つしかない!全軍、進め!」
「というわけで我が国は連合陣営として共産陣営と戦闘状態に入りました…ここで、状況を整理しておきましょう」
「よろしく頼む」
「まず、連合陣営には英連邦、自由フランス、オランダ、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、そして我がオーストリア=ハンガリー二重帝国が属します」
「オーストリアとオーストラリアが同じ陣営とは紛らわしいことこの上ないが」
「本来ウチはエスターライヒですから勘弁してください、ウチの国にはカンガルーもエミューもいません…」
「そして、対する共産陣営には、ソ連、モンゴル、タンヌ=トゥヴァ、東ドイツ、イタリア連邦、共和スペイン、共産アルバニア、ソビエト領北アフリカ(リビア)、共産エチオピアが属します。この全てがソ連の傀儡であり、ソ連以外は先の戦争で軍備が一度解体されて再軍備の途上であり、ロクな戦力を有していません」
「両軍が衝突するのは…フィンランドとノルウェーの極北戦線がまず一つ。次が私どもの中央戦線です。ここが主戦場です。東ドイツから黒海まで長大な戦線で睨み合っています。また、東ドイツの裏手シュレスヴィヒにもデンマークからの遠征軍が存在しています」
「次に北イタリア戦線。我が軍の山岳軍に自由フランス軍も加え、イタリア連邦と戦います」
「次はアルバニア戦線。敵も1個師団しかいないようで、すぐにケリはつくでしょう」
「次、ピレネー戦線。自由フランス軍と共和スペイン軍が戦います」
「さらに、アフリカ戦線が2つ。英仏軍がソヴィエト領北アフリカで戦う北アフリカ戦線と、エチオピアで戦う東アフリカ戦線です」
「さらにジブラルタルのあるスペイン南部や、ソ連領コルシカ島のある西地中海でも戦闘は行われるはずです」
「これだけの大作戦だ、全体の面倒なんてとても見られない…他は同盟国に委ね、我々は中央戦線に尽力する!」
「我らの130個師団の準備は完了、8個航空艦隊に水上艦隊と潜水艦隊も万端です」
「作戦だが、まずは装甲軍を主体に小規模な包囲殲滅を行いつつ、ドニエプル川〜ダウガヴァ川のラインまで前進する。その後はまた適切な場所に装甲軍を投入し、さらなる包囲殲滅を狙う。そういった包囲を何回かするうちに勝機も見えて来よう」
「というわけだ!全軍突撃ーーっ!!」
「早速5月21日、限界に達したフィンランドは降伏した。だが、まだ敗残兵はノルウェーで戦い続けることになる」
「5月23日、オデッサ占領!しかも12個師団包囲殲滅のおまけつきだ。大戦果ではないか!」
「5月26日、キエフ占領!いけるぞこの戦!」
「イタリア方面もアルバニア方面も大勝利、これはこの戦い頂きですな!」
「よし!このまま畳み掛けるぞ!押しまくれ!」
「大変です!戦線中央から急報…敵の突破を許し、急速な浸透を受けつつあり!敵は東ドイツから南下してモラヴィアに侵入、ブルノを占領しそのまま一気に帝都ウィーンへ侵攻中!『赤いナポレオン』『赤軍の至宝』トゥハチェフスキー元帥率いる約60個師団です!」
「マズいマズいマズい!予備戦力などというものは皆無だ!大至急、敵の進路上に訓練未了の新兵をバラまいて敵の足を止めよ!」
「あああああああああ!!!!」
「即座に攻勢を中止し防御に移行!装甲軍を呼び戻せ!突破された破孔の根本を装甲軍で刈り取って反撃に転じるぞ」
「もちろんやりますけど、間に合うかどうか…」
「6月22日、装甲軍が引き抜かれた右翼でも劣勢になり始めました。オデッサは奪還され総崩れの危機です」
「戦線を下げて圧縮するんだ。キエフも放棄!秩序だった後退を維持しろ!赤軍に付け入れる隙を断じて与えるな。総崩れには意地でもしてはならん!」
「この絶体絶命の状況…どうすれば…」
「諦めるな…時間を止めてマップを舐め回すように見つめれば答えはある」
「ぶっちゃけた話、私はHoIではこういう失敗をした時にまだ立て直しが出来る状態で気付ける本能的な感覚があるからな。それを信じろ」
「…っ!あった!シュレスヴィヒの兵を使え!」
「シュレスヴィヒのデンマークから来た軍は新兵のみ6個師団しかいませんが…こちらの方面に東独軍も赤軍も見受けられません。後ろから奇襲してみましょうか」
「即座にやれ!」
「ブダペスト陥落は首の皮一枚のところで回避しました…が、帝都ウィーンは陥落し、まだ浸透してきた敵が多すぎて、敵がクロアチア方面にもやってきました!こちらに対応出来る部隊はいません…もう終わりだぁ!」
「怯むなっ!イタリア連邦は既に死に体だ、イタリア方面軍の山岳軍24個師団を大至急呼び戻せ!代わりはフランス軍から遠征軍で借りた9個師団にやらせれば良い」
「この山岳軍に、さらにまた訓練未了の新兵を放り込んでどうにか敵の足は止まりましたが…すぐ敵は攻勢を再開するでしょうし、もう詰みかと…」
「アッ!しかもAIに任せてたら16個師団が敵中に孤立してる!」
「んおぉん…」
「あぁ…滅亡エンドか…帝国領にアカどもがあんなにどっちゃりと…読者様に何て言い訳しよう…」
「急報!まだ我らは死んではおりませんぞ!」
「?」
「7月3日、搦め手から奇襲された東ドイツ政府は降伏。東ドイツの領土はオーストリアのものとなります。これはつまり…」
「形勢逆転だ!オーストリアに入った敵は東ドイツから来ている。補給を断てたぞ!」
「出すぎた敵の60個師団は、今や敵中で補給切れになり、勝手知ったる地元の山岳兵にやられるだけの木偶の坊と化したぞ!」
「こやつら絶対に逃がしません!皆殺しです!」
「敵も混乱しているようだ。進軍が止まり、包囲された部隊への攻撃も止み、ベッサラビア方面もにわかに安定してきたぞ」
「うおお!死ねや死ねや!」
「こうして休みない攻勢を続けた結果……」
「8月15日、ついに包囲下に置いた敵60個師団の殲滅を完了しました!孤立した味方も無事です!ウィーン始め占領された都市も奪還しました」
「敵側の損失は実に2.01M、我らは266kに留まっております。キルレシオは9:1程度です」
「いぃいいよぉっしゃあああああ!!!!」
「この大逆転勝利は『ドナウの奇跡』として全世界に喧伝されるべきでしょうね」
「デンマークからの遠征軍には全員マリア・テレジア勲章を授与しなければならないな」
「いやぁ…今回は本当に死ぬかと…。全身が総毛立って震えが止まりませんよ」
「さあ、攻めの手を緩めるな!後退した前線でも大反攻に転じ、帝国領から敵を完全に叩き出せ!」
「ドナウの奇跡を受けて戦意を喪失したのか、反攻を後押しするかのように、8月28日イタリア連邦が我が国に降伏しました」
「素晴らしい!イタリアに当てていたフランス遠征軍の9個師団はソ連との前線で使うから、すぐ再配置をかけろ」
「11月1日、激戦によって人的資源が払底してきたため、徴兵法を『大規模徴兵』に変更しました。これにより、全人口の5%までが徴兵の対象となり人的資源となります。1.54Mまで増加しました」
「臣民よ、銃を取って前線へ!」
「現在の戦況ですが、流れは完全に我が方にあります。帝国領から敵を完全に駆逐し、オデッサを再度占領しました。敵を5個師団ほど追加で包囲殲滅しています」
「よろしい。もう11月だ、航空機はじめ装備の消耗も激しいし、冬季は休もう…ん?」
「お、オストプロイセンに突如イギリス軍が強襲上陸!8個師団はいます!」
「助けるぞ!それに、装甲軍でこう…」
「北上すれば、東ドイツでまだ頑張っている敵を包囲出来る!50個師団はいるぞ!」
「殲滅出来れば本当に美味しいですよこれは…」
「無念ですが、取り逃がしました」
「我らが突破する前にイギリス軍が海に叩き落とされてしまったな…」
「我が軍にもっと装甲師団がいれば…悔しいですね」
「まだ15個師団しかないのを1箇所に集中して大切に運用している状態だからな…」
「我が国って急成長したとはいえ、元のICは48しかないですからね。ただでさえ装甲師団は贅沢な編制にしていますし、なかなか数が揃いません」
「本当なら装甲軍を3つ4つ作ってバンバン包囲殲滅していきたいのだがな」
「既に攻勢の衝力も失われましたし、年も暮れましたので攻勢はここまでとします。来年はまた5月から攻勢に出ますが、標的はやはり今回と同じく、東ドイツの敵の包囲殲滅となります」
「冬の間にソ連がどれだけ回復するかと思うと恐ろしいのだが、もう我らも限界に達している。貴重な人的資源を浪費しないためにも、休むべき時には休まねばなるまい」
「それでは、12月31日の戦況を貼って1942年はこれまでといたしましょう」
「損害はソ連2.75Mに対し我が国317kだ。キルレシオは9:1は割ってしまったが、まだ8:1以上を保っている」
「ソ連には到底及ばないが、我らも冬の間に出来るだけのことはしておこう」
「前線に貼り付けられる師団は、東ドイツとイタリアとアルバニアの降伏によって増えています。また、デンマーク遠征軍の6個師団だけとはいえ、緊急時の予備が出来たことは大きいです」
「何より、一正面となったことで中の人に大変指揮しやすくなった」
「それにしても、ソ連は確かに大粛清したはずなんですが、トゥハチェフスキーの奴生きてましたね」
「スキル7元帥で特技が4つくらいあったな。まったく恐ろしい」
「HoI2では大粛清したら必ず死ぬトゥハチェフスキーですが、HoI4ではそうとは限りません。ロコソフスキーとどちらか選ぶ形になっています」
「将軍としてはトゥハチェフスキーの方が優秀だが、ロコソフスキーには司令部スタッフとしての機甲師団強化の能力があるからな。実際プレイヤーとしても考え所なのだが、AIはトゥハチェフスキーを選ぶことの方が多い気がする」
「今回のAAR、中の人は一年ごとにプレイと執筆を繰り返していて、月一のオートセーブだけしてやり直しも一切していなくて、テストプレイすらしていないから、先のことは一切分からないのだが…」
「今年は本当にヒヤっとしましたね。棺桶におでこくらいまで突っ込んでましたよ」
「戦線に大穴が空いていて、ウィーンを一時占領された時は頭が真っ白になった」
「しかし、このドキドキ感が読者様にも伝わっていればとても幸いです」
「今年を上回る危機なんかそうそう無いと思うが…そういうこと言ってると来年が怖いな?」
「正直なところ、現時点の中の人にも全く分かっておりません。来年度に大量に増殖したソ連軍の津波に飲まれるかも知れませんし、このままあっさり勝ててしまうかも知れません。戦線を見る限り、どちらの可能性も否定出来ないのです」
「とにかく、来年度にも楽しみを残せて良かったではないか。そのくらいの考えでちょうど良かろう」
「そういうことです。では、次回の1943年もお楽しみに!」
「願わくば、この二重帝国の栄光の軌跡を共に最後まで見届けてほしい」